「市民の憲法」 (五十嵐敬喜著/早川書房)

1億2000万人のラスト・ホープ みんなで憲法をつくろう

「市民の憲法」

「市民の憲法」(五十嵐敬喜著)
早川書房 定価1600円(税別)
全国書店にて発売中


 2001年の同時多発テロ以来、国際情勢が緊迫し、一方日本が長い不況からいつまでも回復できず、先行きの不安と政治不信がたかまるなか、憲法が注目され、いよいよその改正が政治日程に上がってきた。しかし、憲法論議はほとんど政治家・評論家・マスコミに独占され、本来主人公であるべき国民は置き去りにされている。
 憲法についての議論は「九条」だけに限定されるべきものではない。憲法は福祉や教育、労働や雇用、住環境、言論の自由といった身近な人権から、自治体あるいは国会や行政そして裁判所をふくむ国内最高の規範である。
 本書はまず「改憲」と「護憲」の不毛な対立に対して、憲法をどうしたらよいかについて、事実を基礎に具体的に市民にわかることばで論議すべきであるとの「論憲」の立場に立つ。
 そのうえで、なぜ日本は返しきれない膨大な借金を負い、不況・倒産・失業・環境破壊など、将来への不安を抱える未来喪失の社会になってしまったのかを分析し、21世紀市民の憲法はどうあるべきかの明確な道筋を示す。国民主権の原理に立って、真に市民のものとなる憲法を歴史上初めて体系的に論じる。憲法が身近になり政治が見えてくる。市民のための憲法を初めて体系的に示している。