憲法に関するニュースを、コメント付きでご紹介します。


 2003.05.17. 使える核兵器

 今週、与党と民主党が合意した有事立法修正案が衆議院を通過した。民主党から1人の反乱も無かったことは複雑な思いがするが、これも時代か。

 さて、有事立法の第1の目的は朝鮮半島有事に備えることである。北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の核保有発言に見る瀬戸際政策が有事立法の後押しをしたことは先週のこのコラムで述べたとおりであるが、アメリカの動きも危機を募らせる。

 今週、毎日新聞は、「民主帝国・アメリカンパワー」と題する連載記事を掲載し、アメリカが本格的に小型核兵器の開発を進める方針を明らかにしたことを伝えている。これは英字紙でも報道されており、アメリカのネオコンがいよいよ、使える核の開発・実用化に着手しはじめたことは疑いない。

 イラク戦争でピンポイント攻撃に絶大な威力を発揮したバンカーバスター爆弾は私達に衝撃と恐怖を与えた。この爆弾に核が積み込まれるならばその威力は計り知れない。アメリカの小型核兵器開発の目的はピンポイント攻撃や地下に設置された基地攻撃に核を使用することである。

 伝えられるところによれば、北朝鮮は地下深い基地や司令部を設けていると言う。もはや誰の目にも、アメリカの小型核兵器は北朝鮮との戦争に使う兵器であることが明らかであろう。数年のうちのアメリカと北朝鮮が戦争をする可能性は相当大きい。

 私達が目指す「市民の憲法」はもちろん平和主義に立脚している。朝鮮半島で戦争を起こさせない政府の外交、市民の運動が今こそ必要である。

 アメリカは、北朝鮮攻撃の根拠として、テロとのつながりやミサイルなどの武器輸出、あるいは北朝鮮の独裁、人権侵害、国民を飢えさせる政府からの解放を掲げる。そして、ブッシュ大統領はイラクから帰還した空母の上で行ったイラク戦争勝利を告げる演説で、第2次世界大戦のとき、邪悪なドイツと日本の指導者を降伏させるため、都市に対して無差別・大量爆撃が必要であったことから多くの市民に被害が出たが、イラク戦争ではピンポイント攻撃が可能となったことから市民の被害が少ない中でイラク国民を解放することができたと自画自賛している。

 いまや、アメリカの論理に対抗する平和の実践哲学が必要である。

 戦争によらず、平和のうちに北朝鮮を変革するロードマップを作る必要がある。

 市民版憲法調査会の次回学習会(第11回 5月20日 於星陵会館)は横路孝弘議員、保坂展人議員に平和戦略を語っていただく。ぜひ、ご参加ください。


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